【これだけ見ればOK】「DIE WITH ZERO:人生が豊かになりすぎる究極のルール」要約と感想

お金を稼ぐことは大切ですが、稼いだお金をどう使うかはもっと大切なのかもしれません。私たちは働き詰めでお金を貯め込む一方で、いつの間にかお金を使う機会を失っていないでしょうか。

今回は、コンサルタントでヘッジファンドマネージャーのビル・パーキンス氏の書籍「Die With Zero 人生が豊かになりすぎる究極のルール」を紹介します。この本では、お金を賢く使い切ることで人生を豊かにする考え方が説かれています。誰もが一度は考えたことのあるお金の使い道について、新しい視点から学びを得られる一冊です。

今しかできないことにお金を使う

パーキンス氏が提唱するのは、お金を「今しかできないこと」に使うということです。年を重ねれば重ねるほど、体力や意欲が低下し、できることが限られてくるからです。

20代の頃は、パリへ行きたい、スキーをしたい、高級時計が欲しい、燃えるような恋愛がしたい、などと思っていたことが、60代や70代になると同じことを望めなくなってしまいます。というのも、年を取ればお金から得られる喜びの量は減っていくからです。

実際に著者の上司は、「お前はバカか。ちまちま節約すれば収入が増えるのにそのお金は今しかできないことに使うべきだ」と諭したそうです。特に若い頃は、無駄に思えても後に意味を持つこともあるのです。

思い出作りが人生最大の仕事

パーキンス氏はさらに、「人生で一番大切な仕事は思い出作り」だと主張します。健康寿命を超えて死に逝く時、残るのは豊かな思い出だけだからです。

実際、私たちの健康寿命と平均寿命には8〜12年の開きがあり、その期間はもはや新しい経験を求めることはできません。旅行にも行けず、欲しいものもなく、意欲さえ失せてしまいます。しかし、その時でも過去の思い出に浸ることで、喜びや誇りを味わえるのだといいます。

著者は衰弱した父親に、たくさんの思い出の映像が詰まったiPadをプレゼントしたそうです。父は映像を見ながら、笑い泣きしながら思い出にふけっていたそうです。

若いほど思い出は貴重

しかし、年を重ねるごとに思い出を重ねる機会は減っていきます。パーキンス氏は、若ければ若いほど得られる「思い出の配当」が多いと説明しています。

たとえば25歳で経験したことは、あと60年間思い出すことができます。しかし70歳の経験なら、亡くなるまでの期間は短いでしょう。私も大学生の頃、友人とカウントダウンライブに毎年通っていた思い出をたびたび懐かしみますが、もはやそうした機会はなくなりました。これらは「当時にしかできないこと」だったのです。

そのため、体力や意欲の衰えた人生の終盤に残るのは、若い頃の豊かな思い出だけだと著者は説きます。

年を重ねるとお金はかからない

ここで気づかされるのは、意外とお金はかからないということです。私たちが老後のためにお金を貯め込む一番の理由は将来の不安からですが、実際には年を重ねるとお金を使わなくなることが多いのだとか。

2021年の日銀の調査では、60代が1,400万円、70代が1,500万円と、他の年代に比べて金融資産が突出して多い結果が出ています。年金や退職金などの収入が入る一方で、意欲や体力の低下によりお金を使わなくなるためだそうです。

もちろん病気で医療費がかかる場合もありますが、現役世代が思っている以上にお金は余ることが多いというのが本書の指摘です。つまり、過剰に老後の備えをしすぎているということですね。

お金を使うべき3つのポイント

それでは具体的に、お金をどのように使えばよいのでしょうか。本書では以下の3つのポイントを挙げています。

1. 若い頃から健康に気をつける

体を動かせず、栄養も取れず、排泄もできない状態になれば、いくら金があってもその喜びは感じられません。逆にお金がなくても、健康があれば十分に人生を楽しめます。

そのため若い頃から、健康的な食生活や運動習慣、定期健診などにお金を使うことが重要だと説きます。肥満は糖尿病や認知症、心不全などの病気の温床でもあるそうです。

2. 40歳を超えたら、お金で時間を買う

若い頃は健康と時間があり、お金がないことが多いのに対し、中年以降はお金は増えても時間と健康が徐々に減っていきます。そこでお金を時短と健康に投資し、自分のしたいこと、やるべきことに充てるのが賢明だと指摘しています。

具体的には家事代行サービスやベビーシッター、高速道路の利用、ファストパスの購入、高性能な家電製品の導入などが選択肢として挙げられています。時間を確保できれば、その分人生を豊かに過ごせるからです。

3. 45歳から60歳で資産を取り崩し始める

さらに、本書では45歳から60歳の間に、計画的に資産を取り崩し始めることをすすめています。この年齢が、体力的にもお金を有意義に使える「ギリギリの年齢」と判断されているためです。

70歳を過ぎるとお金を使う機会が減り、30歳台だと早すぎるとされています。遅くとも60歳までに使い始めないと、お金を使い切れないままの人が多いそうです。節約の習慣が身に付きすぎていると、使い道も思いつかなくなってしまうからだといいます。

それでは続けて、お金を賢く使い切るための具体的な方法を説明していきます。

寿命を予測して計画を立てる

お金の使い道を考える上で重要なのが、自分の寿命の予測です。パーキンス氏は、自分がこの世をおいていつごろになるのかの目処を立てることで、お金を最適に使い切れるようになると指摘しています。

私たちの中には、ルパン三世のキャラクター・峰不二子のように永遠に生きられると勘違いしている人もいるかもしれません。しかし、死というものを意識することなくしては、お金の使い道を具体化できないのです。

著者は、まずは日本人の平均寿命を意識した上で、自分の生活習慣などから総合的に判断することをすすめています。たとえば、お酒を飲んだり、タバコを吸ったり、ストレスが多ければ、平均よりも早く亡くなる可能性が高まります。

私の場合、お酒やタバコは全くやっていないので、平均的には80歳前後で死ぬ計算になります。ただし、独身男性の平均寿命は67歳と低めなので、実際にはあと30年程度しか残されていないことになりますね。

こうして自分の寿命を予測することで、先送りできる時間があまりないことに気づかされます。死ぬまでお金なんて何の意味もないのだから、死を意識しながら人生を設計していく必要があるのです。

タイムバケットでやりたいことを整理

最後に、パーキンス氏が推奨しているのが”タイムバケット”と呼ばれる手法です。これは、年齢別に自分のやりたいことをリストアップし、優先順位を付ける作業になります。

具体的には、まず5年か10年の区切りで年齢を区分けします。そして、「25-29歳の間にやりたいこと」「30-39歳でやりたいこと」といった感じで、リストを作成していきます。

ここで重要なのは、”今しかできないこと”を優先的に書くことです。50代になってから友人と制服姿でディズニーランドへダブルデートに行くのは無理がありますからね。

このようにタイムバケットを作ることで、自分が本当にどうしたいのか、どの年齢に何をやりたいのかが見えてきます。日々の多忙さに人生の目標を見失いがちですが、このリストを手元に置くことで、いつでも目標を確認できます。

もちろん、書いたからといって全てかなうわけではありません。しかし、目標を立てることで、今しかできない体験を大切にしようという心構えになれるでしょう。

おわりに

このように、パーキンス氏の”Die With Zero”は、お金を賢く使うことで豊かな人生を手に入れる極意が詰まった一冊です。お金は使わないと価値がありません。働き詰めで稼いだお金を、老後に活用しきれないまま持ち越すのはあまりにももったいないことです。

まず若いうちは、お金を「今しかできないこと」に惜しげもなく使いましょう。その経験から得た思い出が、人生の終盤を豊かなものにしてくれるはずです。

中年以降は時間の確保が課題となります。お金を賢く使って時間を買い、自分のやりたいことに費やしましょう。そして適切な年齢になったら、計画的にお金を使い切れるよう備えをしていく必要があります。

残された人生が限られている中で、後悔は少ないに越したことはありません。お金の問題は本当に深くて奥が深いものですが、本書を手がかりに、みなさんなりのお金の使い道を見つけてほしいと思います。

幸せな人生を送るためのヒントが、きっとここにあるはずです。

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