効果が低い勉強法とは
まず初めに、効果が低い勉強法について見ていきましょう。
- 繰り返し読む
- ノートに書き写す
- ハイライトや下線を引く
これらの勉強法に共通しているのは、脳に負荷がかかっていないということです。教科書を何度も読み返したり、ノートに内容を書き写したりするだけでは、脳を十分に活性化させることができません。ハイライトを引く行為も同様で、単に重要な部分に印を付けているだけです。
人間の脳は、負荷がかかった時に初めて記憶に定着させることができます。これらの勉強法では負荷が小さすぎるため、効果が薄い傾向にあるのです。
効果が高い勉強法とは
一方で、効果の高い勉強法とはどのようなものでしょうか。
1. アクティブリコール
まず第一に、学んだことを思い出したりアウトプットする ことが重要です。これを「アクティブリコール」と呼びます。
具体的には、参考書を閉じて、今学んだ内容を思い出して話したり書いたりする作業を行います。この時、脳に大きな負荷がかかるため、内容が頭に残りやすくなるのです。
実際に、学生を4つのグループに分けて実験したところ、「学んだことを何も見ずにパソコンに打ち込む」グループが最も高い成績を収めていました。
2. 分散学習
第二に、ぶっ通しではなく時間を開けて復習する ことが大切です。これを「分散学習」と呼びます。
人間の脳は時間が経つと記憶を忘れがちですが、定期的に復習することで記憶の定着を図ることができます。1週間に1回程度の頻度で復習を行うと良いでしょう。
実験では、まとめて一度に勉強した生徒より、1週間の間隔を開けて回数を分けて勉強した生徒の方が約1.8倍の成績となりました。
3. 連続的再学習
最も効果的なのは、アクティブリコールと分散学習を組み合わせた「連続的再学習」です。
具体的な手順は以下の通りです。
- まず初めに教科書を読み、内容を把握する
- 次に教科書を閉じて、学んだ内容を思い出して書き出したり話したりする(アクティブリコール)
- 思い出せない部分があれば教科書で確認する
- 1~3の作業を1~3回繰り返す
- 1日後、3日後、1週間後にまた同じ作業を繰り返す(分散学習)
連続的再学習を行った学生は、長期的な記憶の定着とテストの結果が良好でした。
4. 質問する
第四に、勉強した内容について自分で自分に質問する ことも有効な手段です。
例えば「電気自動車はなぜ環境に優しいのか」「本当に環境に良いのか」などと自問自答することで、理解が深まり知識が増えていきます。
自分に質問する作業は中程度の学習効果があると考えられています。
モチベーションを上げる方法
勉強を効果的に行うためには、モチベーションを保つことも重要です。モチベーションを上げる方法として次の3つが挙げられています。
1. 自分に関係のあることを学ぶ
まず、できるだけ自分に関係のありそうなことを学ぶようにしましょう。
人間は自分に関係のあることの方が興味を持ちやすく、記憶に残りやすい傾向にあります。外国に行けば自然と英語を覚えやすくなるのは、実生活に英語が関係しているためです。
一方で、自分に関係のなさそうなことはモチベーションが上がりません。学校の勉強で「何の役に立つんだろう」と思うことが多いのはこのためです。
2. 小さな目標を立てて成功体験を積む
次に、小さな目標を立てて小さな成功体験を積み重ねることがモチベーション向上に役立ちます。
小さな目標を立てて達成することで「私ならできる」「私はすごい」という前向きな気持ちになれます。段階を踏んで壁をクリアしていく方が、最終的な目標達成に近づきやすいのです。
筋トレで例えると、いきなり100kgのベンチプレスを目標に立てるよりも、30kg、35kg、40kgと順を追って重量を増やしていく方が現実的です。
3. 自分で決める
最後に、何をどれくらい勉強するかを自分で決めることが大切です。
人間は基本的に自分で決めたいという気持ちが強く、他者から指示されるとかえって反発心を持ってしまいます。自分で決められると自発的に取り組めるので、モチベーションが維持しやすくなるのです。
まとめ
以上が、科学的根拠に基づく最高の勉強法についての解説となります。効果の高い勉強法として、アクティブリコール、分散学習、連続的再学習、自問自答が挙げられました。また、モチベーションを上げる方法として、自分に関連するものを学ぶこと、小さな目標を設定すること、自分で決めることが重要だと説かれていました。
私見を述べさせていただくと、この記事を通して、勉強とは単に覚えることだけではなく、理解を深め知識を定着させるプロセスであることがよく分かりました。適切な方法を取ることで、一見難しそうな内容でも効率良く身に付けられそうです。
一方で、モチベーションの部分については個人差が大きいので一概には言えませんが、自分に合った工夫をすることが肝心だと感じました。