【書評】「怒らない習慣力」要約と感想

現代社会では、ストレスや焦りから簡単にイライラしてしまうことがあります。しかし、そのイライラが原因で仕事や人間関係にトラブルが生じることも少なくありません。今回は、風水カウンセラーの種市勝覺氏の著書『怒らない習慣力』をもとに、イライラを克服するための7つの思考法について解説していきます。

1. 自力と他力の違いを理解する

まず重要なのは、自分でコントロールできる「自力」の範囲と、コントロールできない「他力」の範囲を明確に区別することです。

  • 自力:現在の自分の行動や考え方など、今の自分自身に関すること
  • 他力:他人のこと、自分の未来や過去など

例えば、好きな人に告白してOKをもらえるかどうかは他力の範囲です。相手の気持ちをコントロールすることはできません。また、過去の失敗を悔やんでも、今の自分にはどうすることもできません。

自分でコントロールできない他力の範囲のことでイライラしても意味がありません。そのため、自分がどうにかできる自力の範囲に集中することが大切です。

2. 心の枠を広げる

人間は「心の枠」からはみ出るような出来事が起こると、イライラや悲しみなどの感情が生まれます。この心の枠は、個人の信念や価値観によって決まります。

例えば、「朝食は絶対ご飯」という信念がある人に、パンを出したら怒るかもしれません。一方、「朝は別に何でもいい」と考えている人なら、パンでもご飯でも喜んで食べるでしょう。

心の枠が狭い人ほど、ちょっとしたことでイライラしやすくなります。逆に、心の枠が広い人は、些細な出来事では動じにくくなります。

自分の考え方を柔軟にし、「こうあるべき」という固定観念を減らすことで、心の枠を広げることができます。

3. 想定外を「面白いこと」と捉える

完璧主義の人ほど、想定外の出来事に対して「あり得ない」と考えてイライラしがちです。しかし、人生には絶対はなく、どんなことも起こり得ます。

想定外のことが起きたとき、それを拒絶するのではなく「面白いことが起こった」と捉えるクセをつけましょう。例えば、変わった後輩がいても「ありえない」ではなく「面白い後輩がいるな」と考えるのです。

起こったことは変えられません。だからこそ、自分自身の捉え方を変えることが大切なのです。

4. 意識のフォーカスを変える

同じことでいつまでもイライラし続ける人は、その出来事に意識が向き続けている状態です。そんなときは、意識のフォーカスを意図的に変えてみましょう。

例えば、上司に理不尽な理由で怒られてイライラしているとします。そんなとき、目の前に突然札束を差し出されたら、上司のことなど忘れてしまうでしょう。このように、イライラの原因から意識を外すことで、怒りを簡単に忘れることができます。

実践としては、おいしいスイーツを買って帰る、好きな本を読む、趣味に没頭するなど、自分が楽しめることに意識を向けるようにしましょう。

5. 結果や他人に期待しない

他人にイライラする人の多くは、人に期待しすぎているケースが多いです。しかし、他人の行動は他力の範囲内にあり、自分ではコントロールできません。

例えば、彼女が待ち合わせに遅れてきてイライラしたとします。これは「彼女は遅れずに来るはずだ」と勝手に期待して、勝手に裏切られて怒っているのです。

どんなことでも、うまくいくときもあればうまくいかないときもあります。結果をコントロールしようとするから、失敗したときにイライラするのです。

他人や結果に対する余計な期待は、相手にも迷惑だし自分自身のためにもなりません。事実をそのまま受け入れる姿勢を持つことが大切です。

6. 妄想という尾ひれをつけない

人は他人から何かを言われてイライラしたとき、主観で解釈しがちです。そうすると、直接言われてもいないのに、勝手に色々妄想して「あの人は自分に対してこう思っているからこんなひどいことを言ったんだ」と思い込んでしまいます。

例えば、遅くまでプレゼンの準備をしていたら上司に「まだやってるの?」と言われてイライラしたとします。しかし、上司は単に心配して声をかけただけかもしれません。

イラッとすると、つい相手のことを敵と見なしてしまいがちです。そうすると、相手が言った言葉に妄想で余計な解釈をつけ加えてしまうのです。

人から何かを言われてイライラする経験が多い人は、相手の言葉をそのまま解釈できているか、もう一度考え直してみましょう。

7. 自分ファーストでわがままに生きる

自分は満たされていないと感じている人ほど、周りの人に嫉妬したり、周りの人がうまくいっているとイライラしてしまいがちです。

例えば、自分がやりたくもない仕事に追われ、毎日が辛いと感じている人は、他人が旅行に出かけているのを羨ましく感じたり、友人が結婚するのを「ずるい」と感じてしまうかもしれません。

こうならないためには、他人に振り回されることをやめて、自分ファーストで生きることが大切です。やりたくない仕事を断れなかったり、他人のわがままを聞き続けたりするなど、他人を優先して自分を二の次にし続けると、ストレスがたまってどこかで無理が来ます。

もっとわがままに、自分がやりたいことを優先して生きていきましょう。自分のやりたいことがしっかりできていれば、心は満たされるようになり、自尊心も育っていきます。そうすることで、他人のことでいちいちイライラすることもなくなり、もっと生きやすいと感じられるようになるでしょう。

感想とまとめ

この『怒らない習慣力』で紹介されている7つの思考法は、非常に実践的で日常生活にすぐに取り入れられるものばかりです。特に印象的だったのは、「想定外を面白いことと捉える」という考え方です。予想外の出来事をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブな好奇心を持って接することで、ストレスを大きく軽減できそうです。

また、「自力と他力の違いを理解する」という点も重要だと感じました。自分でコントロールできないことに対してイライラしても意味がないという気づきは、多くの人にとって有益なものでしょう。

これらの思考法を身につけることで、日々のイライラを減らし、より豊かで充実した人生を送ることができるはずです。ただし、長年の習慣を変えるのは簡単ではありません。一朝一夕には変われないかもしれませんが、少しずつでも実践していくことで、確実に変化を感じられるはずです。

最後に、著者の種市勝覺氏の言葉を借りれば、「短気は損気」です。イライラを抑え、冷静に物事を見られるようになれば、人生の様々な場面でより良い選択ができるようになるでしょう。この記事を読んだ皆さんも、ぜひ「怒らない習慣力」を身につけ、より豊かな人生を送ってください。

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