現代社会は変化が激しく、何が正解で何が間違いなのかが分かりづらくなっています。かつての日本では、1つの会社で定年まで働くことが「正解」とされていましたが、今ではプロゲーマーやYouTuber、音声発信者など、自分の好きなことや得意なことを活かした仕事に就く人が増えています。さらに、生成AIの登場により、イラストや文章、動画の制作方法も大きく変わりつつあります。
このような変化の激しい時代を上手く生き抜くために、元マイクロソフトの役員で現在は講演やセミナーなどで活躍している澤円さんが提唱しているのが「メタ思考」です。メタ思考とは、高い次元から自分の状況を俯瞰し、視野を広げることで、より良い選択肢を見つけ出す思考法です。
1. 視野を広げることの重要性
一つの会社や価値観に縛られず、視野を広げることが重要です。例えば、日本が最悪だと思っている人も、一度ウクライナやロシア、パレスチナなどの外側から日本を眺めてみれば、戦争がなく、食事が美味しく、言いたいことが言える日本の素晴らしさに気づくかもしれません。
同じように、私たちも今置かれている自分の状況を外側から俯瞰することで、新たな気づきや可能性を見出すことができます。
2. 複数のコミュニティに所属する
視野を広げるためには、今の会社に軸足を置きながらも、外側にある自分が面白いと思うことに関わっていくことが大切です。具体的には:
- 興味のあるコミュニティやオンラインサロンに参加する
- 副業を始める
- 興味のある人に会う
このように、自分の居場所や価値観を1つの会社だけに依存せず、分散させることで、精神的なダメージを減らし、新たな可能性を見出すことができます。
3. 自分の得意なことを把握する
いろいろなコミュニティに属しながら、自分の得意なことを客観的に把握することが重要です。ここでのポイントは、「客観的に」得意なことを知ることです。
自分が得意だと思っていても、周りからそう評価されていなければ、それは本当の意味での得意なことではありません。会社の業務以外で、他者から「ありがとう」や「上手だね」と言われることを探すことが、自分の本当の得意なことを見つける手がかりになります。
4. 仕事の中に快感を見出す
仕事が楽しくないという悩みは多くの人が抱えていますが、それは自分がどんな作業に快感を覚えるのかを知らないまま仕事をしているからかもしれません。仕事のプロセスの中で、自分が快感を覚えるポイントを見つけることが重要です。
例えば:
- プログラマーであれば、美しいコードを書くこと
- プロジェクトマネージャーであれば、プロジェクトを円滑に進められたとき
- デザイナーであれば、素晴らしい作品を作り上げたとき
もし自分が快感を覚える要素が全くない場合は、その仕事は自分に合っていない可能性があります。長く仕事を続けていく上で、この「快感ポイント」を見つけることは非常に重要です。
5. オンリーワンの存在を目指す
資本主義社会を機嫌よく生きていくには、仕事に自分の得意なことをプラスアルファして、オンリーワンの存在を目指すことが効果的です。他人との競争に巻き込まれると苦しい思いをすることがありますが、オンリーワンの存在になれば、競争から抜け出すことができます。
例えば:
- アイスクリーム評論家
- ラーメン専門のYouTuber
これらの仕事は、過去に存在していなかったものを自ら作り出した例です。自分の好きなことと得意なことを活かして新しい仕事を作り出せば、競争が極めて少ないオンリーワンの存在になりやすくなります。
6. 恐れを克服する
新しいことに挑戦する際、恐れを感じるのは自然なことです。しかし、その恐れを克服するには、まず知ることが大切です。未知のものに対する恐れは、情報量を増やすことで軽減できます。
例えば、総合格闘技では、相手の情報量が少ないと何をしてくるか分からず守りづらくなります。同じように、新しい分野に挑戦する際も、まずは情報を集めることから始めましょう。
7. 時間とエネルギーの効果的な使い方
最後に、これらの取り組みを実行するためには、時間の使い方を見直す必要があります。著者は、時間の使い方を4つのカテゴリーに分類することを提案しています:
- 重要度が高く、自分でコントロールできること(最優先)
- 重要度が低いが、自分でコントロールできること(暇な時に)
- 重要だが、コントロールできないこと(観察して対応を考える)
- 重要でなく、コントロールもできないこと(基本的に無視)
この分類に基づいて、できるだけ「重要度が高く、自分でコントロールできること」に時間とエネルギーを集中させることが、効果的な生き方につながります。
まとめと感想
メタ思考は、変化の激しい現代社会を生き抜くための有効な思考法です。一つの会社や価値観に縛られず、視野を広げることで、新たな可能性を見出すことができます。また、自分の得意なことを客観的に把握し、それを活かしてオンリーワンの存在を目指すことで、競争から抜け出し、より幸せな人生を送ることができるでしょう。
個人的に、この考え方は非常に示唆に富んでいると感じました。特に、複数のコミュニティに所属することの重要性は、現代のネットワーク社会において非常に有効だと思います。また、自分の得意なことを客観的に把握し、それを活かしてオンリーワンの存在を目指すという考え方は、キャリア形成において大きな指針となるでしょう。
ただし、これらの実践には勇気と努力が必要です。新しいことに挑戦する恐れを克服し、時間とエネルギーを効果的に使う必要があります。しかし、その努力は必ず報われるはずです。変化の激しい時代だからこそ、メタ思考を身につけ、柔軟に対応できる力を養うことが、より充実した人生につながるのではないでしょうか。